こんにちは、エレキギター完全ガイドの山田です。
GibsonのレスポールやSGを見ていると、「Burstbucker 1」「Burstbucker 2」「Burstbucker Pro」「60s Burstbucker」といった名前をよく目にします。ところが、名前が似ているうえに、同じBurstbuckerでもマグネットや出力、ワックスポッティングの有無が違うため、「結局どれが自分に合うのか分からない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
Burstbuckerは、単純に出力の強いハムバッカーというより、1950年代のGibson PAFに見られたコイルのばらつきや反応を現代のピックアップとして再構成したシリーズです。そのため、Type 1・2・3の違いだけでなく、Burstbucker Proや60s Burstbucker、さらに’57 Classicとの設計思想の差まで理解すると選びやすくなります。
私はこれまで30年以上エレキギターを弾き、Gibsonのレスポールも複数所有してきました。ピックアップはスペック表だけで決めるより、ギター本体の鳴り方、アンプの歪ませ方、フロントとリアの音量差まで含めて考えることが重要だと感じています。この記事では、Gibson公式の現行情報を軸に、Burstbucker各モデルの違いと実際の選び方を整理します。
- Burstbuckerの基本構造とPAFとの関係
- Type 1・2・3やProなど各モデルの違い
- ’57 Classicとの違いと向いている使い方
- ネックとブリッジの組み合わせや選び方
Gibson Burstbuckerの種類と特徴
Burstbuckerとは何か
Burstbuckerは、Gibsonが1950年代後半のPatent Applied For Humbucker、いわゆるPAFの特徴を意識して開発したハムバッカーです。Gibson Japanでは、当時のカラマズー工場で使われていた巻線機は現在ほど高精度ではなく、その結果としてコイルの巻き数や出力、トーンに個体差が生まれていたと説明しています。
現代の量産ピックアップでは、左右のコイルをできるだけ均一に巻くことで安定した性能を得る方法が一般的です。一方、Burstbucker Type 1・2・3では、あえて2つのコイルを完全に同じ巻き数にせず、アンバランスコイルを採用しています。これがシリーズの重要な特徴です。
ハムバッカーは本来、2つのコイルによってハムノイズを打ち消す構造ですが、コイルのバランスやマグネット、巻き数、ポッティングの有無によって倍音の出方やアタック感は変わります。Burstbuckerは、ノイズを消すことだけを最優先した設計ではなく、古いPAFにあった不均一さまで音作りの一部として取り込んだピックアップと考えると分かりやすいでしょう。
名前の「Burst」は、1958年から1960年頃のサンバースト仕上げのLes Paul Standardを連想させます。ただし、Burstbuckerを搭載すれば自動的にヴィンテージのレスポールと同じ音になるわけではありません。実際の音はギターの木部、弦、配線、ポット、アンプ、スピーカー、ピッキングなど多くの要素で変化します。

Type 1・2・3の違い
Burstbucker Type 1・2・3は、いずれもアルニコ2マグネット、2芯配線、アンポッテッド仕様という基本構成を共有しています。大きな違いは巻き数と出力です。数字が大きいほど出力が上がると理解すると選びやすくなります。
| モデル | 主な位置 | マグネット | 平均DC抵抗 | ポッティング | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| Burstbucker Type 1 | ネック向き | Alnico 2 | 7.8K | なし | 低出力で開放感を出しやすい |
| Burstbucker Type 2 | どちらにも対応 | Alnico 2 | 8.4K | なし | 中出力でバランス型 |
| Burstbucker Type 3 | ブリッジ向き | Alnico 2 | 8.7K | なし | 巻き数が多く力強い |
Type 1はシリーズ中で最も出力が低く、Gibsonもネックポジションに適したモデルとして位置付けています。フロント側は弦振幅が大きいため、同じ出力のピックアップを前後に置くとネック側が太く大きく感じる場合があります。そこでフロントに低出力のType 1を置くと、音量バランスを取りやすく、低音が膨らみすぎるのを抑えやすくなります。
Type 2は中間的な出力で、Gibson公式ではポジションを選ばず使用できるモデルです。フロントにType 1、リアにType 2という組み合わせは、ヴィンテージ寄りのレスポールらしいバランスを狙いやすい構成です。一方、フロントにType 2、リアにType 3を組み合わせれば、全体にもう少し力強い出力感を得やすくなります。
Type 3は8.7K前後と3種類の中で最も高出力で、ブリッジ向けです。ただし「高出力」といっても、現代的なハイゲイン専用ピックアップのような極端なパワーを狙ったモデルではありません。PAF系のニュアンスを残しつつ、リアで少し強い押し出しが欲しい人に向いています。
アンポッテッドの意味
Type 1・2・3はワックスポッティングを行わないアンポッテッド仕様です。ワックスポッティングとは、コイル周辺をワックスで固定し、振動による不要な共振やマイクロフォニックなフィードバックを抑える処理です。
アンポッテッドだから性能が低いわけではありません。むしろBurstbuckerでは、ヴィンテージPAFの構造に近づける要素の一つとして採用されています。弦の振動に対する反応が生々しく感じられたり、倍音の広がりを好むプレイヤーもいます。
ただし、大音量でハイゲインを使う場合には、ポッティング済みのピックアップよりマイクロフォニックなフィードバックが起こりやすくなる可能性があります。ライブでかなり歪ませる、スピーカーの近くで演奏する、ノイズゲートを使うほどゲインを上げるという人は、Burstbucker Proのようなポッティング済みモデルも候補に入れたほうが実用的です。
Burstbucker Proの違い
Burstbucker Proは、Type 1・2・3のヴィンテージ志向を土台にしながら、もう少し現代的な扱いやすさを加えたモデルです。代表的なTrebleモデルではアルニコ5マグネットを使用し、平均DC抵抗は8.3K、ワックスポッティング済みです。
アルニコ2を使うType 1・2・3と比べると、GibsonはBurstbucker Proを、より太く、ドライブ感とアタック感を増したキャラクターとして説明しています。レスポールらしい中域の厚みを残しながら、バンドの中で輪郭を出したい人には使いやすい方向です。
また、ポッティング処理が行われているため、歪ませたときの扱いやすさもポイントになります。ヴィンテージ感を最優先するならType 1・2・3、ライブでの安定性や強めのアタックも欲しいならProという分け方は、一つの分かりやすい基準です。
60s Burstbuckerの特徴
60s Burstbuckerは、Type 1・2・3とは別に、1960年代寄りの明るく切れ味のある方向を狙ったモデルです。Gibson Japanの現行仕様では、アルニコ5、2芯、アンポッテッド、平均DC抵抗8.0Kとされています。
Type 1・2・3がアルニコ2なのに対し、60s Burstbuckerはアルニコ5を使う点が大きな違いです。Gibsonはややブライトなクラシック・ハムバッキング・トーンと説明しており、レスポールで低音が重くなりすぎるのを避けたい人や、コードの分離感を重視したい人には検討しやすいモデルです。
ただし、Burstbucker Proもアルニコ5なので、磁石だけで両者を同じ傾向と考えるのは早計です。Proはワックスポッティング済み、60s Burstbuckerはアンポッテッドという違いがあり、同じアルニコ5でも設計の狙いは異なります。
61Rと61Tとの関係
GibsonのLes Paul Standard 60sやSG Standard ’61などでは、Burstbucker 61Rと61Tという名称を見ることがあります。これらも1960年代初期のPAF系サウンドを意識したハムバッカーで、アルニコ5を採用した明瞭さと高域の存在感が特徴です。
61RはRhythm、61TはTrebleを意味し、一般的にはネック側とブリッジ側の組み合わせとして使われます。Type 1・2・3と同じ「Burstbucker」という名前でも、レスポールStandard ’50s系の方向とStandard ’60s系の方向では狙っている音の重心が異なります。
購入するギターに「Burstbucker搭載」とだけ書かれている場合は、Type 1・2・3なのか、Proなのか、61R/61Tなのかまで確認したほうがよいでしょう。モデル名の後半まで見ることで、マグネットやポッティング、出力傾向をより正確に判断できます。
57 Classicとの違い
GibsonのPAF系ピックアップを比較するとき、Burstbuckerと並んで候補になるのが’57 Classicです。両者は同じアルニコ2を採用するモデルがありますが、コイル構造とポッティングの考え方が異なります。
| 比較項目 | Burstbucker Type 1・2・3 | ’57 Classic |
|---|---|---|
| マグネット | Alnico 2 | Alnico 2 |
| コイル | アンバランス | バランス型 |
| ポッティング | なし | あり |
| 音の方向 | 開放感や倍音感を狙いやすい | 滑らかでまとまりやすい |
| 扱いやすさ | ヴィンテージ志向 | 幅広い環境で使いやすい |
’57 Classicの現行仕様は、アルニコ2、2芯、ワックスポッティング済み、平均DC抵抗8.0Kです。Gibson Japanは、左右のコイルを揃えたバランスドコイルとポッティングにより、扱いやすさとフィードバック低減を図ったモデルとして説明しています。
そのため、Burstbuckerは「古いPAFの個体差や荒々しさまで含めた方向」、’57 Classicは「PAF系の基本トーンをより安定して使いやすくまとめた方向」と考えると理解しやすいでしょう。どちらが上という話ではなく、欲しい反応の違いです。
「サウンドハウスでGibson 57 Classicを見る」
Gibson Burstbuckerの選び方
ネックとブリッジの組み合わせ
Burstbuckerを交換用ピックアップとして選ぶ場合、単体のスペックより前後の組み合わせが重要です。特にレスポールはネック側とブリッジ側で弦の振幅が大きく違うため、同じ出力のピックアップを前後に置いても体感音量は同じにならない場合があります。
ヴィンテージ寄りにしたいなら、ネックにType 1、ブリッジにType 2が分かりやすい組み合わせです。フロントは低出力で輪郭を保ち、リアは少し出力を上げることで切り替え時の音量差を整えやすくなります。
「サウンドハウスでBurstbucker Type 1・2・3を比較する」
もう少し太さやドライブ感が欲しい場合は、ネックにType 2、ブリッジにType 3という考え方があります。リアのType 3はアンプを押しやすくなるため、クラシックロックや太めのリードトーンを作りたいときに向きます。
「サウンドハウスでBurstbucker Type3を見る」
一方、強めの歪みを日常的に使い、ハウリングへの余裕やタイトなアタックを重視するならBurstbucker Proも有力です。数字だけを見るのではなく、アンポッテッドかポッティング済みかまで確認すると失敗しにくくなります。
「サウンドハウスでBurstbucker Pro Trebleを見る」
音楽ジャンルで選ぶ方法
ブルースやヴィンテージロックで、ピッキングの強弱に対する反応やクリーンからクランチへの変化を楽しみたいなら、Type 1とType 2の組み合わせが候補になります。アンプ側のゲインを上げすぎず、ギターのボリュームで歪み量を調整するような使い方とも相性を考えやすい構成です。
ハードロックでリアの押し出しを重視するならType 3、またはBurstbucker Proが使いやすくなります。Type 3はアルニコ2のまま巻き数を増やした方向、Proはアルニコ5とポッティングによってアタックと安定性を高めた方向なので、同じ「強め」でも性格が違います。
ジャズやクリーン中心でフロントを多用する場合は、Type 1の低出力を活かして低域を整理する選択肢があります。ただし、太く滑らかで安定したクリーントーンを優先するなら’57 Classicも比較する価値があります。
現代的なロックや幅広いジャンルを一本でこなしたい場合は、Proや61R/61Tのほうが扱いやすいことがあります。Burstbuckerという名前だけでヴィンテージかモダンかを判断せず、各モデルの設計まで見ることが大切です。
レスポールとの相性
Burstbuckerはレスポールとの組み合わせが代表的ですが、レスポールであれば必ず同じ結果になるわけではありません。個体によって低域の出方、アタック、サステイン、重量感が異なるためです。
もともと低音が太く、フロントがこもりやすい個体ならType 1のような低出力モデルをネックに入れる意味が大きくなります。逆に、リアが細く感じる個体ならType 3やProで押し出しを補う方法があります。
私自身、レスポールを弾いていて感じるのは、ピックアップ交換だけでギターの性格を完全に別物にするより、その個体が持っている長所を少し強調したり、弱点を補ったりする考え方のほうが成功しやすいということです。太いギターをさらに太くするだけでは、バンドでは抜けにくくなることもあります。

ピックアップの高さ調整
交換後に「思ったより音が太い」「フロントだけ大きい」「リアが細い」と感じても、すぐ別のピックアップへ交換する必要はありません。まず高さ調整で前後バランスを確認する価値があります。
ピックアップを弦に近づけると一般に出力感は上がりやすく、離すと出力は下がりやすくなります。ただし、近づければ必ず良いわけではありません。磁力の影響、低音の膨らみ、アタックの硬さ、コードの分離感なども変わるため、耳で確認しながら少しずつ調整します。
私は最初にリア側の音を基準にし、その後フロントへ切り替えて音量と低域の量を合わせていく方法が分かりやすいと思います。フロントが大きすぎれば少し下げ、リアが弱ければ少し上げるというように、数値だけではなく実際にアンプから出る音で判断します。
交換時に確認する配線
Type 1・2・3の現行モデルは2芯のヴィンテージ配線です。通常のレスポールのように、各ピックアップをハムバッカーとして使い、2ボリューム・2トーン・3ウェイトグルで切り替える構成には適しています。
一方、コイルスプリットやシリーズ・パラレル切り替えなど、各コイルへ個別にアクセスする配線を前提にしている場合は、購入前に導体数を確認する必要があります。4芯モデルを前提とした改造メニューと、2芯のBurstbucker Type 1・2・3では、そのまま同じ配線ができないことがあります。
また、ピックアップ交換時にはポットやコンデンサー、配線材まで一度に変えるケースがありますが、複数の部品を同時交換すると「どの変更が音に効いたのか」が分かりにくくなります。音の違いを確認したいなら、可能であれば一度に変える要素を絞るほうが判断しやすいでしょう。
中古品を買うときの注意
Burstbuckerは中古市場でも見かけます。新品より安く入手できる場合がありますが、配線の長さ、カバーの脱着歴、ロウ漬けなどの加工歴、リード線の補修、抵抗値、ネジやスプリングの有無を確認したいところです。
特に中古ピックアップでは、外観だけで内部の状態を判断しにくいことがあります。元のギターから取り外した純正品なのか、単体販売品なのか、過去にマグネット交換やポッティングなどの改造が行われていないかも、分かる範囲で確認すると安心です。
価格だけで選ぶより、返品条件や動作保証のある楽器店を優先する方法もあります。ピックアップはギター本体より小さな部品ですが、取り付けにははんだ作業が必要になるため、交換工賃まで含めた総額で考えることが大切です。
よくある質問
Burstbucker 1と2は何が違いますか
主な違いは出力です。Type 1は平均DC抵抗7.8Kで低出力、Type 2は8.4Kで中出力です。GibsonはType 1をネック向き、Type 2をどのポジションでも使えるモデルとしています。レスポールではType 1をフロント、Type 2をリアに組み合わせるとバランスを作りやすい構成です。
Burstbucker 2と3は何が違いますか
Type 2は8.4Kの中出力、Type 3は8.7Kで巻き数が多い高出力側です。Type 3はブリッジ向きで、リアにもう少し押し出しが欲しい場合に選びやすくなります。どちらもアルニコ2、アンポッテッド、2芯という基本仕様は共通です。
Burstbucker Proは何が違いますか
代表的なBurstbucker Proはアルニコ5を採用し、ワックスポッティングされています。Type 1・2・3よりアタックやドライブ感を強め、強い歪みでも扱いやすい方向です。PAF系の要素を残しながら、ライブでの安定性も重視したい人に向きます。
57 Classicとどちらが良いですか
優劣ではなく狙いが違います。Burstbucker Type 1・2・3はアンバランスコイルとアンポッテッド仕様でヴィンテージPAFの個体差まで意識した方向です。’57 Classicはバランスドコイルとワックスポッティングにより、PAF系の音をより安定して使いやすくした方向と考えると選びやすくなります。
ハイゲインでも使えますか
使えますが、Type 1・2・3はアンポッテッドなので、非常に大きな音量や強いゲインではマイクロフォニックなフィードバックが気になる場合があります。ハイゲイン中心なら、ポッティング済みのBurstbucker Proも比較するとよいでしょう。
レスポール以外にも使えますか
一般的なハムバッカーサイズに対応するギターであれば候補になります。ただし、取り付け寸法、配線方法、ポット値、既存の電装、弦間ピッチなどは事前確認が必要です。ギター本体の音の傾向も含めて選ぶことが重要です。
Gibson Burstbuckerのまとめ
Gibson Burstbuckerは、一つの音だけを指すピックアップではありません。Type 1・2・3、Pro、60s Burstbucker、61R/61Tなど、それぞれマグネット、出力、ポッティング、狙っている年代感が異なります。
最もヴィンテージ寄りに考えるなら、アルニコ2・アンポッテッドのType 1・2・3が中心です。ネックにType 1、ブリッジにType 2なら低出力寄りのバランス、ネックにType 2、ブリッジにType 3なら少し力強い方向を狙えます。
一方、アルニコ5のアタックとワックスポッティングによる扱いやすさを求めるならBurstbucker Pro、明るい60年代系のキャラクターを求めるなら60s Burstbuckerや61R/61Tが候補になります。滑らかさと安定性を重視する場合は’57 Classicも比較すべきです。
ピックアップ選びでは、抵抗値だけで「高いほど良い」「出力が強いほどロック向き」と判断しないことが大切です。自分のギターが太いのか明るいのか、アンプをどれくらい歪ませるのか、フロントとリアをどう使うのかまで考えると、Burstbuckerの違いが実際の選択につながります。
レスポールらしいPAF系のニュアンスを残しながら、自分の演奏環境に合う反応を選べること。それがGibson Burstbuckerシリーズの大きな魅力です。



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