こんにちは、エレキギター完全ガイドの山田です。
数あるポール・リード・スミス(PRS)のラインナップのなかで、実戦派のギタリストから熱い支持を集め続けているのが「DGT(David Grissom Trem)」ですよね。テキサスの名手デイヴィッド・グリッソムのこだわりが詰まったこのモデルは、単なるアーティストモデルの枠を超えて、今やPRSを代表する定番機種のひとつになっています。
私自身、これまでにPRSは「SE Custom」「Core Custom 24」「Custom 22」を所有してきました。どれも作りの良さや見た目の美しさ、そしてチューニングの安定性は抜群でしたね。現在もCustom 24は私のメインギターとしてスタジオやライブで大活躍しています。そんなPRS大好きな私から見ても、DGTは「かゆいところに手が届く、最高にプレイヤー目線のギターだな」と感じる特別な1本なんです。
ただ、いざDGTを手に入れようと思うと、本家USA製のCoreモデルと、手頃な価格帯の「SE DGT」でどれくらい音や弾き心地が違うのか、あるいはCustom 24やMcCarty 594と比べて自分のプレイスタイルに合っているのか、気になるところがたくさんありますよね。この記事では、30年以上エレキギターを弾き続けてきた私の実体験も交えながら、DGTの評価やSEとの違いをじっくり掘り下げていきますよ。
- PRS DGTが多くのギタリストから高く評価される理由と基本設計
- 専用ネックやジャンボフレット、2ボリューム仕様がもたらす弾き心地と音色
- USA製Core DGTとインドネシア製SE DGTの具体的な違いと価格差の正体
- Custom 24やMcCarty 594との比較からわかる自分に合った1本の選び方
PRSのDGTとは?基本仕様と特徴
まずは、PRS DGTがどのような経緯で生まれ、どんな基本設計を持っているのかを見ていきましょう。ベースとなったモデルとの違いを知ると、このギターの狙いがはっきりと見えてきますよ。
デイヴィッド・グリッソムのこだわり
DGTは「David Grissom Trem」の頭文字を取ったモデルで、アメリカの実力派ギタリストであるデイヴィッド・グリッソムとポール・リード・スミスが長年にわたって共同開発したシグネチャーギターです。2007年に登場して以来、プロの現場からアマチュアの愛好家まで、幅広い層に愛され続けています。
世の中にはたくさんのシグネチャーモデルがありますが、その多くは「そのアーティストのファンが買うギター」になりがちですよね。ところがDGTは違います。デイヴィッド・グリッソム自身がヴィンテージのギブソンやフェンダーを深く愛し、数え切れないほどのステージやレコーディングをこなしてきた百戦錬磨のプレイヤーだったからこそ、とにかく「現場での使いやすさ」と「ヴィンテージライクな味わい」が徹底的に追求されているんです。
その結果、デイヴィッド・グリッソムの名前を知らなかったギタリストまでもが、楽器店でたまたま試奏してその完成度に惚れ込み、そのまま購入していくという現象が世界中で起きました。まさにプレイヤーのための実用機と言えますね。

ベースとなったMcCartyからの進化
DGTの設計の土台になっているのは、PRSのヴィンテージ志向モデルである「McCarty(マッカーティ)」です。私が以前所有していたCustom 22とも近い22フレット仕様のプラットフォームですが、McCartyは一般的なCustom系よりもボディバックのマホガニー材が少しだけ厚く設計されているのが特徴なんですよ。
ボディに厚みがあるぶん、鳴りにどっしりとした重みと中低域のふくよかさが生まれます。ただ、オリジナルのMcCartyはストップテールピース(固定ブリッジ)が基本でした。そこにデイヴィッド・グリッソムが「自分のプレイにはアームが絶対に必要だ」とリクエストし、PRS独自のトレモロユニットを組み込んだのがDGTの出発点です。
つまり、McCartyが持つヴィンテージギターのような太い鳴りと、Custom 24などが持つ滑らかなアーミング性能をいいとこ取りしたのがDGTというわけです。さらに2026年には、Coreラインの通常ラインナップとして「DGT Semi-Hollow(セミホロウ)」も正式に加わり、より空気感のあるサウンドを求める層からも注目を集めています。
専用ネックシェイプとジャンボフレット
DGTを手に取って最初に驚くのが、ネックの握り心地とフレットの高さです。ネックシェイプには、このモデルのために設計された専用の「DGTネック」が採用されています。
PRSの標準的なネックである「Pattern(旧Wide Fat)」と比べると、ナット幅がほんのわずか(約0.8ミリほど)狭く、それでいて適度な厚みを持った丸みのあるシェイプになっています。実際に握ってみると、手のひらに吸い付くような安心感があり、親指をネックの上に出して握り込むスタイルでも実にしっくりくるんですよ。
そしてもうひとつの大きな武器が、背が高くて幅もある「ジャンボフレット」の採用です。ヴィンテージ系のギターというと細くて低いフレットを想像しがちですが、DGTはあえて大ぶりなフレットを打つことで、軽いタッチでのレガートや、1音半以上の大きなチョーキング、そしてビブラートのしやすさを劇的に高めています。太めの弦を張っても指先が痛くなりにくく、思い通りのニュアンスを楽に出せるのがたまらない魅力ですね。
プレイヤーを魅了する音色と操作性
DGTの評価を決定づけているのは、やはりアンプから飛び出してくる極上のトーンと、手元だけでサウンドを自在に操れるコントロール系にあります。ここでは、サウンドと操作性の秘密に迫ってみましょう。
DGTピックアップが放つヴィンテージ感
ギターの心臓部とも言えるピックアップには、専用開発された「DGTピックアップ」がフロントとリアに搭載されています。デイヴィッド・グリッソムが所有するヴィンテージのPAF(オールド・ギブソンのハムバッカー)や、テキサス・ブルースロックの伝統的なトーンをお手本に、何十種類もの試作を重ねて完成したこだわりのピックアップです。
私のメイン機であるCustom 24(85/15系ピックアップ)が、高音から低音までワイドレンジで現代的なクリアさを持っているのに対し、DGTピックアップは中音域にギュッと旨味が詰まった、少し泥臭さも感じさせる温かいトーンが持ち味です。
コードを一発鳴らしただけでも、巻き弦の「ゴリッ」とした立体感と、プレーン弦の艶やかな伸びが絶妙なバランスで混ざり合います。歪ませたときも音が潰れすぎず、ピッキングの強弱にどこまでも素直に反応してくれるので、弾いていて本当に気持ちがいいんですよ。
秀逸なコイルタップとシングルコイル音
PRSのギターにはコイルタップ(ハムバッカーをシングルコイル風に切り替える機能)が付いているモデルが多いですが、正直なところ「ハムバッカーの片側だけを鳴らした、ちょっと線の細い音」に感じてしまうことも少なくありません。あなたもそんな経験はありませんか?
ところがDGTのコイルタップは、トーンノブを引っ張り上げたときのサウンドが驚くほど実戦的なんです。その秘密は、タップしたときに完全に片側のコイルを切り離すのではなく、抵抗を挟んで絶妙にブレンドする回路設計にあります。
この工夫によって、シングルコイル特有の鈴鳴り感や歯切れの良さを出しつつも、音量がガクッと落ちたり耳障りな高音ばかりが目立ったりすることがありません。テレキャスターやストラトキャスターのような軽快なカッティングから、ブルージーなリードプレイまで、このコイルタップだけで1曲まるごと弾き切れてしまうほどの完成度を誇っています(出典:PRS Guitars Japan公式サイト)。
補足・豆知識:DGTの純正弦ゲージについて
USA製のCore DGTは、工場出荷時の状態で「11-49(プレーン3弦)」という、エレキギターとしてはかなり太めの弦が張られています。ジャンボフレットと25インチスケールの組み合わせにより、11からのゲージでも不思議と硬すぎず、太いトーンと安定したピッチ感が得られる設計になっています。もちろん、購入後に一般的な10-46へ張り替えて調整することも可能です。
2ボリュームとマスタートーンの利便性
DGTの外観上の目印にもなっているのが、ボディに並んだ3つのノブです。通常のPRS Custom 24などは「1ボリューム、1トーン」の2ノブ構成ですが、DGTは「2ボリューム、1マスタートーン」という独自のレイアウトを採用しています。
フロントピックアップとリアピックアップの音量をそれぞれ独立して調整できるため、たとえば以下のような使い方が手元だけで一瞬で完結します。
まず、リアのボリュームをフルテン(10)にしておき、フロントのボリュームを少し絞って(6〜7くらい)クランチ気味のクリーンを作っておきます。そうすれば、トグルスイッチを切り替えるだけで、足元のエフェクターを踏まなくても「バッキング用の軽快なクランチ」と「ソロ用の太いリードトーン」を行き来できるわけです。
また、トグルスイッチをセンター(ミックス)ポジションにした状態で、フロントとリアの混ぜ具合をミリ単位で調整できるのも2ボリュームならではの醍醐味ですね。しかも、ノブの配置が絶妙で、演奏中に小指や薬指を伸ばしてボリューム奏法やゲイン調整をするのにもストレスがありません。
◆山田のワンポイントアドバイス
私が普段ハードロックのバンドでCustom 24やCustom 22を弾くときも、曲中で手元のボリュームを絞ってクリーンを作る場面が結構あります。1ボリュームだと切り替えたときに全体の音量まで変わってしまいますが、DGTのように2ボリュームあると、レスポール感覚でフロントとリアの音量差をあらかじめ仕込んでおけるので、ライブでの安心感がまるで違いますよ。
チューニングが狂いにくいトレモロ構造
ヴィンテージ系のルックスやトーンを持ちながら、アームを積極的に使えるのがDGTの大きな強みです。搭載されているPRSオリジナルのトレモロブリッジは、6本のネジ(ナイフエッジ)で支える独自の構造になっており、摩擦を最小限に抑える工夫が随所に施されています。

上の写真は私の所有するCore Custom 24のブリッジ周辺ですが、PRSのトレモロは本当に精度が高くて、アームを使って揺らしたあともピタッと元の音程に戻ってくれます。DGTにもこの伝統的なPRSトレモロ(Coreモデルにはさらに進化したGen III Tremolo)と、弦をロックできるペグ、そして滑りの良いナットが組み合わさっているため、ステージで熱いプレイを繰り広げてもチューニングがほとんど狂いません。
固定ブリッジのギターに近いダイレクトな弦振動をボディに伝えつつ、いざというときには滑らかなビブラートをかけられる。この両立こそ、私がPRSというブランドを心から信頼している理由のひとつでもあります。
PRSのDGTとSE DGTの徹底比較
さて、ここからがこの記事で最も多くの方が気になっているポイントではないでしょうか。本家USA製の「Core DGT」と、圧倒的なコストパフォーマンスで話題をさらった「SE DGT」。両者には具体的にどんな違いがあるのか、スペックからサウンドまで丸裸にしていきます。
製造国と木材グレード・構造の違い
まず押さえておきたいのが、製造されている場所と木材の構造です。Core DGTはアメリカ・メリーランド州スティーヴンスヴィルの本社工場で、熟練の職人たちによって作られています。一方、SE(Student Edition)シリーズのDGTは、インドネシア・スラバヤにあるCor-Tek社のPRS専用ファクトリーで製造されています(※初期のSEは韓国製でしたが、現行のSEエレクトリックはインドネシア製です)。
ボディの構造を見ると、どちらも「メイプルトップ+マホガニーバック」に「マホガニーネック+ローズウッド指板」という王道の組み合わせです。ただし、Coreモデルが分厚い無垢のフィギュアドメイプルを深く削り出す「Violin Carve(ヴァイオリン・カーブ)」を採用しているのに対し、SE DGTは浅めのアーチ加工(Shallow Violin Carve)を施したメイプル材の上に、美しい杢目を持つフレイムメイプルの突き板(ヴェニア)を貼る構造になっています(※ゴールドトップ仕様は突き板なし)。
また、ネックの構造もCoreが贅沢な「1ピース(一枚板)マホガニー」であるのに対し、SEは強度と木材の歩留まりを考慮した「マルチプライ(複数材の貼り合わせ・スカーフジョイント)」になっている点が大きな違いですね。
ピックアップと電装系パーツの差
サウンドに直結するピックアップにも明確な違いがあります。Coreモデルにはメリーランド工場で巻かれたUSA製の「DGT」ピックアップが載っていますが、SEモデルにはその設計思想をベースに海外サプライヤーがPRS仕様で製造した「DGT “S”」ピックアップが搭載されています。
PRS公式も説明している通り、”S”が付くピックアップはUSA製と同じ方向性のトーンを狙って緻密にチューニングされています。実際、SE DGTのピックアップはこれまでのSEシリーズの中でも群を抜いて出来が良く、「そのままでも十分にDGTらしい中域の粘りが出る」と高く評価されています。
とはいえ、Coreモデルと直接弾き比べてみると、ピッキングした瞬間の音の立ち上がりや、倍音のきめ細やかさ、そしてボリュームを絞ったときのハイ落ちの自然さにおいては、やはりUSA製ピックアップと高品質なポット・コンデンサーを積んだCoreモデルに一日の長があります。
塗装とハードウェア・付属品の比較
ギターの鳴りや経年変化、そして手触りに影響するのが塗装(フィニッシュ)です。Core DGTには、塗膜が薄くて木材の呼吸を妨げないニトロセルロースラッカー系の塗装(CABベース+ニトロトップなど)が採用されています。使い込むほどに風合いが増し、生鳴りもオープンに響くのが特徴ですね。
対するSE DGTは、耐久性に優れたポリウレタン系の塗装で仕上げられています。傷や湿度変化に強く、普段のお手入れが楽というメリットがある反面、塗装の厚みによる独特のコンプレッション感(音が少しまとまる感じ)はあります。
ペグ(チューナー)についても、Coreモデルが上位仕様の「Phase III ロッキングチューナー(ウイングボタン)」を標準装備しているのに対し、SEモデルはヴィンテージスタイルのロックなしペグ(PRS Designed Tuners)となっています。ここで両者の主要スペックを一覧表で比べてみましょう。
| 比較項目 | PRS Core DGT(USA製) | PRS SE DGT(インドネシア製) |
|---|---|---|
| 製造国 | アメリカ(メリーランド州) | インドネシア(スラバヤ) |
| ボディトップ | フィギュアドメイプル(Violin Carve) | メイプル+フレイムヴェニア(Shallow Violin) |
| ボディバック | マホガニー(McCarty厚) | マホガニー |
| ネック構造 | 1ピース・マホガニー | マルチプライ・マホガニー(スカーフ) |
| スケール / フレット数 | 25インチ / 22フレット(ジャンボ) | 25インチ / 22フレット(ジャンボ系) |
| インレイ | ムーン(月)またはバード(鳥) | ムーン(Gold Top)またはバード(Burst系) |
| ピックアップ | USA製 DGT × 2 | DGT “S” × 2 |
| コントロール | 2ボリューム、1プッシュ/プルトーン、3-way | 2ボリューム、1プッシュ/プルトーン、3-way |
| ブリッジ | PRS Patented Tremolo, Gen III | PRS Patented Tremolo, Molded |
| ペグ | Phase III Locking(Wingボタン) | PRS Designed Tuners(非ロック式) |
| 塗装 | ニトロセルロース系 | ポリウレタン系 |
| 付属ケース | ハードケース | ギグバッグ(ソフトケース) |
| 実売価格の目安 | 約65万円〜80万円前後 | 約13万円〜16万円前後 |
実売価格の差とコストパフォーマンス
表を見ていただくと分かる通り、2026年現在の日本国内における実売価格は、Core DGTが約65万円〜80万円前後(10 Topなどの上位杢目ではさらに高価)であるのに対し、SE DGTは約13万円〜16万円前後となっています。実に4倍から5倍近い価格差があるわけですね(※価格は販売店や時期、為替相場によって変動するため、あくまで一般的な目安として捉えてください)。
では、「SE DGTはCoreの4分の1の価値しかないのか?」と聞かれれば、私は断言して「ノー」と答えます。エレキギターの世界では、15万円のギターを100点としたとき、70万円のギターが400点の音を出すわけではありません。最後の数パーセント〜十数パーセントの「極上の鳴りや工芸品としての美しさ」を突き詰めるために、木材の選別やアメリカ本国での手作業の工程に莫大なコストがかかっているんです。
実際、私が最初に手にしたPRSも「SE Custom」でしたが、価格からは考えられないほどネックの作りがしっかりしていて、ライブでも即戦力として使えました。特に今回のSE DGTは、デイヴィッド・グリッソム本人がネックの握り心地やピックアップのトーンに徹底的にダメ出しをして完成させたモデルなので、10万円台で買えるエレキギターとしては反則級の完成度に仕上がっています。
注意・デメリット:SE DGTを選ぶ際に知っておきたい点
SE DGTは非常に優秀なギターですが、Coreモデルと比べると「ペグがロック式ではないため、激しいアーミング時の安定性や弦交換の手軽さで一歩譲る」「付属がハードケースではなくギグバッグである」といった違いがあります。もしライブでアームを多用するなら、購入後に純正のSE用ロッキングチューナー(別売)へ交換するのも賢い選択ですよ。
他モデルとの違いから見るDGTの立ち位置
PRSのギターを探していると、定番の「Custom 24」や、同じヴィンテージ系の「McCarty 594」とで迷ってしまう方も多いはずです。私が実際に所有してきたCustom 24やCustom 22、そしてレスポールとの比較を通じて、DGTならではの立ち位置を整理してみましょう。
Custom 24やCustom 22との違い
まず、PRSの代名詞である「Custom 24」とDGTを比べてみます。私が現在メインで使っている赤いCustom 24や、以前愛用していたナチュラルカラーのCustom 22と比べると、DGTは明確に「キャラクターが異なるギター」です。

Custom 24は24フレット仕様であるがゆえに、フロントピックアップの位置が少しブリッジ寄りに配置されています。そのため、フロントを選んだときも音が甘くなりすぎず、スッキリとした現代的なトーンになるんですね。ネックも「Pattern Thin(旧Wide Thin)」などの薄めのシェイプが主流で、テクニカルな速弾きやモダンなロック、ポップスを1本でこなすには最高の相棒です。

一方、上の写真のCustom 22やDGTのような「22フレット仕様」のモデルは、指板が短いぶんフロントピックアップを本来の一番おいしい位置(弦振動が大きく豊かな場所)に配置できます。これにより、フロントで鳴らしたときの甘く太い、いわゆる「泣きのトーン」が格段に出しやすくなるんです。
さらにDGTは、Custom 22よりもボディが少し厚いMcCarty構造を採用し、専用のヴィンテージ系ピックアップと2ボリュームを備えています。「Custom 24だと少し音が綺麗すぎて優等生に感じる」「もっとロックやブルースに合う泥臭い粘りが欲しい」という方にとって、DGTはまさにど真ん中の選択肢になりますよ。
McCarty 594との設計と方向性の違い
では、同じヴィンテージ志向の兄弟モデルである「McCarty 594」とは何が違うのでしょうか。ここも非常によく比較されるポイントです。
最大の違いは「スケール(弦長)」と「ブリッジ構造」にあります。McCarty 594は、オールドのレスポールに極めて近い「24.594インチ」という少し短めのスケールを採用し、ストップテールピースの2ピースブリッジを搭載しています。コントロールも2ボリューム・2トーンの4ノブ構成で、より伝統的なセットネックギターへのリスペクトが色濃く反映されています。
それに対してDGTは、PRS伝統の「25インチスケール」を維持し、トレモロブリッジを搭載しています。25インチスケールのおかげで、McCarty 594よりも弦にほどよい張り(テンション感)があり、低音弦がボヤけずに輪郭がくっきりと出るんです。つまり、「ヴィンテージっぽい太い音は好きだけれど、レスポールのようにもっさりするのは嫌だし、アームも使いたい」という欲張りな願いを叶えてくれるのがDGTなんですね。
レスポールやストラトからの持ち替え感
普段ギブソンのレスポールや、フェンダーのストラトキャスターを弾いている方がDGTに持ち替えると、どう感じるでしょうか。私は1958年仕様のヒストリック・コレクション(レスポール)も所有していますが、レスポールからDGTに持ち替えると、まず「ハイポジションの弾きやすさ」と「ボディバランスの良さ」に感動するはずです。

レスポールは唯一無二の重厚なサウンドが魅力ですが、やはり重いですし、15フレットより上のハイポジションを弾くときには左手の親指がネックジョイントに引っかかりますよね。DGTならダブルカッタウェイのボディ形状のおかげで最終フレットまでストレスなく指が届きますし、重量も3.4kg〜3.8kg前後の個体が多く、長時間のスタジオ練習でも肩が悲鳴を上げません。
また、ストラトキャスターをメインにしている方が「太いハムバッカーの音も欲しいけれど、レスポールは弾きづらくて挫折した」という場合にも、DGTは最高の架け橋になってくれます。25インチスケールとトレモロブリッジ、そして極上のコイルタップ音が備わっているため、ストラトからの持ち替えでも違和感が本当に少ないんですよ。
◆山田のワンポイントアドバイス
私が80年代〜90年代のハードロックをカバーするバンドで演奏するとき、「この曲はレスポールの太い音が合うけど、間奏のソロでアームを使いたいんだよなあ…」と悩むことがよくあります。そんなとき、McCarty譲りの太いトーンと安定したトレモロ、さらに手元で操れる2ボリュームを持ったDGTがあれば、ギターを持ち替えずに1本でステージを完走できてしまいますね。
PRSのDGTとSE DGTはどんな人に向く?
ここまでの特徴や比較を踏まえて、結局のところ「Core DGT」と「SE DGT」はそれぞれどんなギタリストにおすすめなのか、選び方の基準をまとめました。
CoreモデルのDGTが向いている人
USA製のCore DGTは、予算に妥協せず「一生モノのメインギター」を探している方に強くおすすめします。特に以下のようなこだわりを持つ方なら、手に入れた瞬間に金額以上の満足感を味わえるはずです。
まず、アンプ直や最小限のエフェクターで、ピッキングのニュアンスや手元のボリューム操作だけで多彩な音色を描き分けたいプレイヤーです。ニトロセルロース塗装の1ピースマホガニーネックとUSA製DGTピックアップが織りなす極上のレスポンスは、弾き手の感情をそのままアンプから出力してくれます。
また、S2シリーズにはDGTがラインナップされていないため(2026年現在)、「USA製のDGT」を手に入れようと思ったらCoreモデル(またはPrivate Stockなど)を選ぶことになります。美しいメイプルトップの彫り込みやPhase IIIペグの操作感など、所有する喜びを存分に味わいたいなら迷わずCoreを狙いましょう。現在の在庫やカラーバリエーションは、楽天市場やYahoo!ショッピングなどの大手楽器店の出品ページで実物の木目写真を見比べてみるのも楽しいですよ。
石橋楽器でPRS DGTを探すSE DGTから始めるのが向いている人
一方で、インドネシア製のSE DGTは、「DGTの設計思想や弾き心地を、現実的な予算で今すぐ体感したい」というすべての方におすすめできる名機です。
「初めてのPRSとして失敗しない1本が欲しい」という方はもちろん、すでにフェンダーやギブソンのギターを持っていて、「ライブやスタジオで気兼ねなく使える、2ボリューム+トレモロの優秀なサブギターが欲しい」というベテランギタリストにも大人気なんですよ。
特に、ゴールドトップにムーンインレイ(三日月型のポジションマーク)を組み合わせた「SE DGT Gold Top」や、美しいフレイムメイプルにバードインレイを備えた「McCarty Tobacco Sunburst」などは、ステージ映えも抜群です。10万円台前半から中盤という価格帯でありながら、プロの現場でもそのまま通用するポテンシャルを持っているので、Amazonや楽天市場でSE DGTの最新価格と在庫状況をチェックして、まずはこの1本からDGT沼に足を踏み入れてみるのが最も賢い選択かなと思います。
石橋楽器でPRS DGTを探す購入前や中古選びで気をつけたい点
もしDGTやSE DGTを楽器店やネット通販、あるいは中古市場で探す際には、いくつかチェックしておきたいポイントがあります。
ひとつ目は「インレイ(指板のマーク)の好み」です。PRSといえば鳥の形をしたバードインレイが象徴的ですが、デイヴィッド・グリッソム本人はシンプルなドット(ムーン)インレイを好んでいるため、DGTには伝統的にムーンインレイの個体が多く存在します。SE DGTでも、当初はカラーによって「Gold Top=ムーンインレイ」「Tobacco Sunburst=バードインレイ」と分かれていました。自分がどちらのルックスを好きになれるか、購入前に必ず写真で確認しておきましょう。
ふたつ目は、中古でCore DGTを探す場合の「年式による仕様変更」です。2007年の登場から現在に至るまで、塗装の種類(V12フィニッシュからCABニトロへの変更など)やペグの世代(Phase IIからPhase IIIへ)、トレモロの世代などが細かくアップデートされています。中古ショップで検討する際は、製造年とコンディション、そしてフレットの減り具合やトラスロッドの余裕をしっかり確認してから決断してくださいね(出典:PRS Guitars公式 Model History)。
◆山田のワンポイントアドバイス
ネット通販でギターを買うときは、ショップが「個体ごとの実物写真」と「重量(ウェイト)」を載せているかどうかを必ずチェックしましょう。同じDGTでも3.3kg台の軽快な個体から3.8kg台のどっしりした個体まで幅があります。自分が立って弾くときの負担や、好みの音の重さに合わせて選ぶと失敗がありませんよ。
PRSのDGTに関するよくある質問(FAQ)
Q1. PRS DGTのネックは太すぎて弾きにくくないですか?
A. DGTのネックは適度な厚みがありますが、ナット幅がPRSの標準的なPatternネックよりもわずかに狭く設計されているため、日本人の手にも意外なほどすんなり馴染みます。Custom 24のような薄いネック(Pattern Thin)に慣れていると最初は丸みを感じますが、ジャンボフレットとの相乗効果で握り込みやすく、チョーキングやビブラートはとても楽に行えます。手の大きさに不安がある方は、一度楽器店でSE DGTなどを実際に握ってみることをおすすめします。
Q2. SE DGTのピックアップやペグは購入後に交換する必要がありますか?
A. ピックアップに関しては、標準搭載されている「DGT “S”」の完成度が非常に高いため、購入してすぐに交換する必要はまったくありません。まずはそのままの状態で、2ボリュームの操作感やコイルタップの優秀さをじっくり味わってみてください。一方、ペグ(チューナー)については、SE DGTは標準では非ロック式となっているため、ライブでアームを頻繁に使う方や弦交換を素早く終わらせたい方は、純正オプションの「PRS SE Locking Tuners」などに交換すると、さらに使い勝手が向上します。
Q3. PRS DGTはハードロックやメタルでも使えますか?
A. 80年代〜90年代の王道ハードロックやクラシックロック、ブルースロックには抜群の相性を見せます。私自身も同年代のハードロックを演奏しますが、中音域に粘りがあるDGTのサウンドはマーシャル系のアンプやオーバードライブペダルと組み合わせると最高のドライブサウンドを奏でてくれます。ただし、ダウンチューニングを多用するモダンなヘヴィメタルやジェント系をメインにする場合は、出力の高いピックアップや薄めのネックを備えた「Custom 24」や「Mark Tremonti」「Mark Holcomb」モデルなどを選んだ方が幸せになれるでしょう。
Q4. DGTとMcCarty 594のどちらを買うべきか迷っています。
A. 判断の決め手は「トレモロアームを使うかどうか」と「スケールの好み」の2点に尽きます。アームを使ったビブラート表現が欲しくて、25インチスケールのハリのある明瞭なトーンやジャンボフレットの軽いタッチが好みなら「DGT」がおすすめです。逆に、アームは一切使わず、オールドのレスポールに近い24.594インチスケールの柔らかなテンション感と、固定ブリッジならではの塊感のある鳴りを求めるなら「McCarty 594」を選ぶと満足度が高いですよ。
Q5. 出荷時の11-49という太い弦から、一般的な10-46に張り替えても大丈夫ですか?
A. はい、問題なく張り替えることができます。なお、SE DGTについては工場出荷時から一般的な「10-46」ゲージが張られて出荷されています。USA製のCore DGTは出荷時が「11-49(プレーン3弦)」セッティングになっているため、もし購入後に10-46や09-42へ変更する場合は、弦の張力が変わるため、トレモロスプリングの引き具合やネックの反り、オクターブチューニング、そしてナット溝のバランスを楽器店やリペアショップで一度調整してもらうと、本来の性能を100%引き出せます。正確な仕様はPRS公式サイトもあわせてご確認ください。
PRSのDGTの評価と選び方のまとめ
ここまで、PRSのDGTおよびSE DGTの魅力や仕様の違いについて詳しく見てきました。最後に、この記事の大切なポイントを振り返っておきましょう。
- DGTはMcCartyの太い鳴りをベースに、トレモロと2ボリュームを組み合わせた実戦仕様のモデル
- 専用のDGTネックとジャンボフレットにより、軽いタッチでのチョーキングや豊かな表現が可能
- DGTピックアップは中域の粘りが心地よく、抵抗を挟んだコイルタップはシングルコイル並みの実用性
- USA製のCore DGTは1ピースネックやニトロ塗装、USA製PUを備えた一生モノの最高峰モデル
- インドネシア製のSE DGTは10万円台でDGTの真髄を味わえる圧倒的な高コスパモデル
- Custom 24よりもヴィンテージ寄りの太い音が欲しい人や、レスポールからの持ち替えにも最適
エレキギターを30年以上弾いてきてつくづく感じるのは、「弾いていてストレスがなく、手元の操作に素直に反応してくれるギターこそが、結局一番長く手元に残る」ということです。私にとってのCustom 24がそうであるように、DGTもまた、一度手にすればあなたの音楽ライフを何年も、あるいは何十年も支えてくれる最高の相棒になってくれるはずです。
ヴィンテージ系の温かいトーンと、現代的なプレイアビリティ、そして緻密な音量コントロールを高次元で両立したいなら、DGTは間違いなく有力な選択肢になります。予算に余裕があって究極の1本を求めるならCore DGTを、まずは手頃な価格でこの素晴らしい設計を体験してみたいなら、Yahoo!ショッピングやAmazonなどでSE DGTから試してみるのが最も現実的で後悔のないステップですよ。
なお、本記事で紹介した価格や仕様は執筆時点での一般的な目安となります。年式や販売店によって細かなスペックや価格が異なる場合がありますので、正確な最新情報はPRS公式サイトをご確認いただき、最終的な購入やセッティングの判断は楽器店の専門スタッフにも相談しながら、あなたにとって最高の1本を見つけてくださいね!



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